外国語ナレーションのサクセスView

英語・中国語・韓国語・スペイン語・フランス語・イタリア語・タイ語・アラビア語・ロシア語etcのナレーター/ナレーションの収録について、留意すべき点などを実際にあったエピソードを元にお伝えします。

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「ナレーター」に対する認識の欧米人と東洋人の差

「ナレーター」とは、どのような仕事をする人か。
これについての認識は欧米人と東洋人で大きく異なっている。
欧米人ナレーターの場合、登録先のナレーター派遣会社に送付するボイスサンプルが、
(1)企業VP用、
(2)キャラクターボイス、
(3)語学教材用、
(4)歌
という4ジャンルにわたっていることが多い。
すなわち、彼らにとって「ナレーター」とは“声をつかってありとあらゆる仕事をする人”であり、英語でいえば“entertainer”、もしくは“performer”なのである。

 一方、中国人や韓国人など東洋人ナレーターの場合、「ナレーター」という言葉を聞いても、大型家電量販店などで流される外国人向けの店内放送や、観光地で制作される外国人観光客誘致用のビデオくらいしか連想できないためか、ナレーター派遣会社には企業VP用の“おかたい”ボイスサンプルしか送付しない。
おそらく東洋人ナレーターの意識の中では、キャラクターボイスを出すのは「声優」、語学教材用CDの音声を吹き込むのは「大学で語学の授業を担当している外国人講師」、歌を歌うのは「一流の歌手」であって、それらは「ナレーター」の仕事ではないのである。

 こうした認識の差は、インターネット上に顔写真を公開するか否かの判断にも現れている。英語ナレーターの多くは、個人のホームページでも、登録先のナレーター派遣会社のホームページでも、顔写真を公開している。これはやはり「表現者としての自負心」がそうさせるのであろう。一方、東洋人ナレーターの場合は、日本人と同じように「インターネット上に自分の顔写真が掲載されるのは何だか恥ずかしい」、「オープンにするのは声だけにしてほしい」といった“いい意味での奥ゆかしさ”があり、なかなか顔写真を公開しようとしない。

 ところで、日本国内における“声の仕事”の需要は、欧米言語のほうが東洋言語より遥かに多く、求められる声質も多岐にわたっている。したがって、欧米人ナレーターにとっては、稼ぎたければ「できるだけ守備範囲を広く見せておいたほうが得」という事情もある。

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体調やボイスサンプルの完成度も実力のうち

 ナレーターの中には、収録当日かぜを引いていてブース内で何度も鼻をかむ人や、昼食直後であるために頻繁に痰が絡む人など、声の調子が不十分なまま収録に臨んでしまう人が稀にいる。このようなナレーターは、収録に立ち会っているお客さんから「この人は大丈夫なのだろうか」などと疑われ、悪いイメージを持たれる。ナレーターが「今日は体調が悪いんですよ」と弁解したところで、高いお金を払って“いい声”を期待しているお客さんからは同情など得られない。プロ棋士の米長邦雄さんがよく言っているように、「体調を万全に整えるのもプロの実力のうち」なのである。

 また、ボイスサンプルの音質や音量が不適切であるために、なかなか選ばれないナレーターもいる。こうしたナレーターは多くの場合、自宅のコンピューターに安価なマイクを接続し、フリーソフトの録音アプリケーションで作成したボイスサンプルをナレーター派遣会社に送付している。
 一方、お金をかけてスタジオでBGM付きボイスサンプルを作成したナレーターは、一時的には大きな出費があっても、その後に受注する仕事の多さで、ボイスサンプル作成にかかった費用など簡単に回収できてしまう。

 完成度の高いボイスサンプルを作るために手間ひまかけているナレーターは、ナレーション収録において手抜きをせず、自分のプライドにかけても良い仕事をしようとする傾向がある。
 したがって、第三者が「彼はボイスサンプルは良くないけれど本当は実力があるんですよ」と弁解したところで、そのナレーターの“声の仕事”に対する情熱は伝わらない。

 プロのナレーターは、収録時に常に体調を心掛け、完成度の高いボイスサンプル以外は公開していないはずである。

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顔出ししないナレーターこそ実力派

山下達郎、中島みゆき、氷室京介、浜田省吾、MISIA。
いずれも、めったにテレビに出ない実力派の歌手である。彼らには「歌手は歌で勝負するもの」といったプロ意識があるに違いない。
実は、外国人ナレーターにも、そうしたタイプが多い。日本国内の名所を紹介する外国人観光客誘致用のビデオなどは、外国人が出演していた方が効果的であることから、「顔出しの仕事をしてくれる外国人を探しているんですが」という問い合わせが、しばしばナレーター派遣会社にも入る。
 外国人ナレーターは、この不況期に顔出しの仕事をして少しでも収入を増やせるなら嬉しいはずなのだが、意外にも顔出しの仕事を断るケースが多い。それは、「声の仕事で築き上げてきた自分のイメージを壊されたくない」という“声のプロ”としての自負心からであろう。確かに、顔出しの仕事を断る外国人ナレーターには実力派が多い。
すなわち、声の仕事だけで一年じゅうまあまあ忙しいのである。もちろん、「ビデオカメラで写されるのが恥ずかしい」とか「顔や体形に自信がない」といった理由から顔出しの仕事を辞退している外国人ナレーターもいるに違いない。
 かつてプロ野球界に、「自分はストレートとフォークだけでどんなバッターとも勝負できる」と自信を持って投球するピッチャーがいた。
 同様に、「自分は“声”以外では勝負しない」、いや、「自分は“声”だけで勝負してもVP制作者から選んでもらえる自信がある」という外国人ナレーターがいる。
こうしたナレーターは、スタジオ内で音声を収録する際にも終始自信満々であり、時として傲慢に見えることさえあるくらいである。
どんな仕事でも自信満々で臨めば実力以上の結果が出るから、そういう人は仕事のたびに好評を得る。ともすると、実力のあるナレーターは、顔出しの仕事にまで手を出しているナレーター仲間を、心の中でさげすんでいるかもしれない。

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ナレーターの読みまちがい

ナレーターも人間である以上、音声収録中に原稿を読みまちがえることがある。英語の場合、「the bounty of nature(自然の恵み)」を「the beauty of nature(自然の美)」と言ってしまうなど、つづりの似ている別単語に読みまちがえるケースが多い。
一方、中国語の場合は、「戦乱」を「戦争」と読んだり「巨大」を「最大」と読んだりする“類義語への読み替え”のほか、勝手に名詞の後ろに「的(〜の)」をつけたり、動詞の後ろから「了(〜した)」を削除したりする“助詞・助動詞の恣意的使用”がしばしば見られる。

 ナレーション原稿は、一字一句に至るまで収録前に検証され承認されたものである以上、ナレーターが原稿どおりに読んでいない場合は、気づいた人が即座に指摘するべきである。
万一、スタジオ内に当該言語を理解できる人がおらず、読みまちがえた音声が入ったままビデオパッケージが世に出てしまったら、たいへんなことになる。
展示会場で来場者から読みまちがいを指摘されたりしたら大恥である。

 ナレーターの読みまちがいをゼロにすることは難しいが、最小限にするための工夫はできる。
たとえば、ナレーション原稿の文字を14ポイントくらい、行間を26ポイントくらいにして、「文字が大きくて見やすい原稿」を作成するのは有効である。
また、ナレーション原稿を遅くとも収録2日前までにナレーターに渡し、ナレーターに練習時間を与えることも重要であろう。
さらに収録当日、スタジオ入りしたナレーターに笑顔で話しかけ、できるだけリラックスさせれば、実力以上のナレーションが期待できるはずである。

◇ナレーションのことなら:ナレーション.jp ( http://www.narration.jp/index.html )

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顧客に愛されるナレーターの3条件

外国語版ビデオパッケージを制作する会社が、ナレーター派遣会社に「ナレーターは○○さんでお願いします」と指名するケースがしばしばある。よく指名される外国語ナレーターは、必ず以下の3資質のいずれかを備えている。

(1) 声そのものが魅力的である
(2) 日本語が流暢である
(3) 人格が優れている

 欧米人には「人間は何か1つ強みがあれば生きていける」という考え方があるため、声に自信のあるナレーターは(2)や(3)を度外視することが多い。「このナレーターは、こんなに日本語が下手で、どうして10年以上も日本で暮らしてこられたのだろう?」と首を傾げたくなる英語ナレーターもいる。

 一方、欧米人であっても日本人の好みを知っているナレーターは、スタジオ内で(2)や(3)を強烈にアピールする。日本人には、「あの人は才能あるけど人柄がねえ」と才能より人柄を重視する傾向がある。また、日本語を理解しない英語ナレーターが収録に臨む場合、日本人ディレクターは、「More slowly(もっとゆっくり)」、「Like a movie's beginning(映画の出だしのように)」といった簡単な指示しか出せず、もどかしい思いをする。日本人のこうした点を熟知しているナレーターは、スタジオ内で笑顔を絶やさず、スタッフらに日本語で世間話をふり、収録中、原稿上に気にかかる表現があれば適切な表現を提案する。「5行目のa machineは、machinesと複数形にしたほうが英語として自然に聞こえますが、いかがなさいますか?」などとナレーターから提案されれば、スタジオ内の日本人はその親切心と日本語力に感動して、「次回、別の案件でも○○さんにナレーションをお願いしよう」と思ってしまうのである。

 「日本ではナレーター稼業は人気商売。実力だけでは仕事は来ない」と割り切って、メンタル的に日本人化しているナレーターも、けっこういる。

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